月の恋
「………」
あぁ…やはり変わっていない……
暁岾はまだ自分の中でしかなかった推測が今確信へと変わる。
目の前で自分を怖がりながら見上げてる瞳。いつでも、どんな時でも、変わることのない真っ直ぐで、強い光を持つ瞳。
貴女は本当に……。
「……でわ、天上さま」
『は、はい!』
「手伝うからには私は何処のどなただろうと関係ありません。厳しく当たらしていただきます。宜しいですね?」
『はい!』
「でわ天上様には『あ!あの、うちのことは生綉姫でいいですよ!“様”とか何かうちそんな偉いもんじゃないし、それに…他人行儀的な感じがして嫌や…』
『いや…でも、他人っちゃ他人なんか?やけど何か嫌やし……あのやっーークスクスクス
え?………
生綉姫はこれでもかってぐらいに目を見開いた。
うっそ!笑ってる?!
ーーそう…
生綉姫の目の前では口に手をあて小さく笑っている暁岾が居たのだ。
『あ、あの…何かうち変なこと言いましたか??』
「いえ…クス、ただ貴女のように前代未聞なことをおっしゃっられた方は初めてなので」
『前代未聞?』