月の恋


ーーー…


遠い…遠いよ!!


あれから逃げるように走ってき、かれこれ30分以上生綉姫は歩いている。


さっきおったとこが天鬼邸(てんきてい)て言う、お寺での本堂ってやつやろ、ほんで天鬼邸を中心に第1邸から第20邸まであるって暁岾さんから聞いたけど……どんだけやねん!!


それも一個一個がこんな離れとったら日暮れてまうわ







お?……ん?


もしかして!もしかしなくともあれは第2邸への渡り廊下でわございませぬか!!


生綉姫は少し先に見える今まで歩いていた廊下よりも少し明るい廊下が目に入った






うっしゃー第1邸とっぱやん!

いや~長かったなぁ~よぅ頑張ったで!


うちの足も悲鳴あげてるし帰ったらマッサージしたるさかいまっててや~



生綉姫は少し小走りで廊下を行く。

廊下を抜けた瞬間、太陽の光が優しく生綉姫を包む。

眩しさに目を細めながら目の前の光景を目に映せば……




『うっわぁぁ~~!!』


なんやこれ!!めっちゃきれーー!!


そこにはここが建物なのか疑いたくなるくらいの美しい庭園が広がっていた。


色とりどりな花や甘い実をつけた木、小さな川まで流れている。


ほんまにココ同じ建物の中!!



つい後ろを振り返れば先ほどまで生綉姫が歩いていた廊下が見える

だが…前を見れば美しい庭園。




やばいで!やばいで!こりゃ!うちだって日頃は存在しない乙女心が疼いちゃうよ!!



『っひぃやっほーーい!!』

訳の分からぬ声を上げ廊下から庭へと下りる


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