月の恋
「いい天気やのぉ~」
『………そうですね~』
あれから変なおじいさんと一緒に近くにあった木のベンチへと座ったの……だが……。
「美味いのぉ~」
『………。』
「ん?食べんのかぁ~?」
『えっ!いえ…いただきます』
ん~……え~とね、そうじゃなくてね…
うちはじいーちゃん、あんたに聞きたい…
いったい!
どっから!出てきたんや!
このミタラシ団子わ!!
生綉姫はミタラシ団子を口に含みながら隣に座るおじいさんを盗み見る。
白い柔らかな髪は光の反射のせいだろうかときより美しい銀色へと変わる、そして口元を覆う真っ白の髭。
髪の隙間から見える少したれた目は深い碧色(あおいろ)をしていた。
……ん?
何かこのじいーちゃん誰かに似てへん?
つい最近会ったような……?
「……女子よぉ~…おぬし生綉姫(みつき)と言ったかのぉ?」
『ん?…ッゴク…うん』
「懐かしいのぉ~」
『何が?』
「っふぉふぉふぉ~」
『ほんまよう分からんじいーちゃんやな~…んで何でじいーちゃんこんなとこおるん?』
「花が笑っとるわぁ~」
『花?』
じいーちゃんはたれ目をより細くして相変わらずっふぉふぉふぉ~と笑った。
そんな2人の間を優しい風が通り過ぎて行く。