月の恋
「ーーっという事だ…」
こないだ蒔騎から聞いたことを語り終えた鬼壟は目の前で俯く暁岾を見る
「………」
「…お前にすまないと伝えてほしいと言われた」
その言葉と同時に我慢していた暁岾の頬を一筋の涙が伝う…。
「……ぅ…っ…ヒク」
「…蒔騎は生綉姫を狙う者を調べる為にしばらく戻らない。その間ここで“守って”ほしいだとよ」
「……ヒク……っ」
「…暁岾…今度は絶対守れ」
「…っはい!」
ーーー生綉姫様…
今度こそ必ず命にかえても
「守ります!…」
もう二度とあんな想いを味わいたくない…
もう二度と大切な“ヒト”を失いたくない
もう一度くれた守れるチャンスを私は絶対離さない。
暁岾は去って行く鬼壟の背中に深くお辞儀をし、自分の心に強く誓った……