月の恋
生綉姫は睨みながらこっちにまた1歩近づいてくる雷寺に声を上げる。
『だから!うちに近寄んな喋るな!あんたさっきから酒臭いねん!こっちは気きかして息止めて我慢したったのに目の前で大きい口開けて笑うから唾は飛んでくるし!汚いし!臭いねん!分かった!?』
それだけ言うと2・3歩、生綉姫は雷寺から離れた。
そんな生綉姫を見ていた他の妖怪達は…
「…へぇ~~面白いね」
「………」
「………驚いた」
「ふふっ…久々に見たわ…こんな子」
「………」
「きゃははっ!!雷寺だっさぁ~」
様々だったが雷寺は自分から2・3歩離れた生綉姫を見詰めた。
その瞬間今まで喋っていた妖怪達が一斉に黙りだした。
ん?な…なんや?
何で急に静かになんねん
一人状況を把握してない生綉姫はこっちを見てくる雷寺に視線を合わせた。
その時今居る妖怪の中で1番若そうな男の子が苦しそうに声を出す。
「…っおい!雷寺!力を出すなっっ!」
他の妖怪達も眉間に皺が寄り少し苦しそうだ。
この光景を見た生綉姫は…一つため息を付いたあと…
「あんたが何してんか知らんけど人に迷惑かけなや」
呆れた目で雷寺を見ながら言葉を発した。