月の恋


「「「「「「「っ!!」」」」」」」


生綉姫の予想外な言葉にそこに居た妖怪達は皆、息を呑んだ。





「…お前……何で…」



雷寺は目を見開きながら生綉姫に問う。


そんな雷寺に生綉姫は



『何がって…何が?』


首を傾けながら逆に問う。


「ぇ…いや…だってお前。俺の力が効かないのか?」


『知らんよそんなん』


生綉姫は雷寺が何をそんなに驚いているのか分からず首を傾けだまま淡々と答える。




「…だって……っ!!まさか!お前っ」



急に大声を出した雷寺は焦ったように生綉姫に近づきもう一度その目を覗きこんだ後、右手を生綉姫の頬へ伸ばした。



ーーーーだが







「……そいつに触るな」




その声で雷寺の手は生綉姫に届く前に止まってしまった。









「きっ鬼壟……どーゆうことだ」





恐る恐る振り返った雷寺の瞳には静かに酒を飲む鬼壟が映った。








「…そいつから離れろ」



「っっ!!!」






「聞こえなかったか…」



鬼壟の淡々と話す冷たい声は雷寺までも動けなくさせる。


そんな2人を見た生綉姫はまた一つため息を付いた。





「あんたら妖怪は普通に話しもできんのか?…鬼壟、あんたもそんな威嚇したら誰だって動きにくくなるやろ。その目やめ」




「………」


鬼壟は一度、生綉姫を見て





「…こっちに座れ」



自分の横に座るように告げるとまた静かに酒を飲みだした。


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