月の恋


だが、自分の横に座われと告げる鬼壟に生綉姫は…



『はぁ?嫌や!絶対いや!』

と両手を前に出し有り得ないと左右に振る



「…お前ふざけてんのか?」


『ふざけてへんわ!何が悲しくてあんたの横なんか行かなあかんねん!!』


「…良いからこっちに来い」


『だから嫌やって!うちはここで良い』


そう言った生綉姫は妖怪達の中できょとんとこっちを見ていた男の子の側に『隣良い?』と聞きながら座った。





「………おい」


生綉姫が違う所に座ったことで鬼壟の機嫌は悪くなるばかり。


そんなのはお構いなしに生綉姫は隣に座った男の子に喋りかける。


『ごめんなぁ…何かあんたの隣がいっちゃん安全な気して』


「え?……ぁ…」


『そういえばあんた名前何て言うん?』


「ぇ……………太奇(たいき)」


『うちは生綉姫(みつき)!よろしく』


「……あぁ」



生綉姫が太奇と話しをしている間、周りには沈黙がただよっていた。


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