月の恋


「………はぁぁ…」


そんな鬼壟のため息が部屋を包んだかとおもうと鬼壟はゆっくり立ち上がり生綉姫の側まで歩いてくる。


『ん?……何や?』


生綉姫は近づいて来た鬼壟を見上げ問いかけるーー



ーーーッグイ


『っ!!』


次の瞬間、鬼壟の手が伸びてきたかとおもうと生綉姫の腕を掴みそのまま自分の腕の中に入れる。



『っ!!ちょっちょ!』
何やっとんじゃーー!!


腕の中でジタバタする生綉姫から少し腕を離しそのまま滑るように生綉姫の膝の裏と背中に腕を通すとその小さな体を地面から離す。


『ぶぇっ!!』

「……もう少し色気のある声は出せないのか?」


『だっ!出せるかーー!』



まず色気のある言葉ってどんなんやねん!

あっ!


まさか“あれ”か!“あれ”やな!




しゃ…しゃ~ない!言うたろやないか!
うちやって一応女や!色気だってたぶんある!いける!!





ーーー…よし!














『あ……あっは~ん』









「…………やめてくれ」







鬼壟に持ち上げられたことによりさっきより顔との距離が近くなり生綉姫の上から呆れた声とため息が聞こえる。





「…暴れるな……いてぇ」



再び鬼壟の腕の中で暴れだした生綉姫は暴れるたびに鬼壟の顎や頬に見事にストレートパンチを繰り出していた


『うっさいわ!嫌なら下ろせーー!!』


穴!穴があったら入りたいーーー!!


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