月の恋
あかん…うちはもう女としておられへん
何が悲しくてこんな恥かかなあかんねん……
「おい…そんな落ち込むな」
鬼壟は自分の腕の中で見るからに落ち込む生綉姫の顔を覗き込むとあきらかに半泣き状態になってる顔と出会う…。
「大丈夫だ…ほらなんだまた明日がある」
『明日も言えってか……』
「…………」
鬼壟はいっこうに機嫌をなおさない生綉姫に小さくため息が出た
『ため息付くな…こっちが付きたいわ……もう最悪や…こんな色気のカケラも無いチンチクリンな女なんか………もう……お嫁に行かれへん!!』
姉ちゃんごめん…うちは一生独身で生きて行きます。
花嫁姿…あなたに!見せたかったです!!
1人自分の世界に飛び込みおいおい言っている生綉姫は上からきた声に現実へと戻される
「俺がもらってやる」
『………ふぇ?』
おっと…変な声出てもうた
てか今コイツ何言うた?
いや何も言うてない!幻聴!そう幻聴や!
『いややわ~幻聴まで聞こえるとかほんまないわ~あははははは』
「俺がお前を嫁にもらう…」
『……………は?』
今度は確かに聞こえた…
「他の野郎なんかに渡さねぇ」
『冗談は顔だけにして下さい』
「あぁ?」
『あぁ?じゃないわ!…てかほんまいい加減下ろせ!!いつまでこんな乙女チックな抱えかたされなあかんねん!お姫様抱っこなんかうちには似合わんねん!』
「おい…」
『下ろせ!!』
「………こっち見ろ」
『下ろせ!!』
「………」
鬼壟はまた暴れだした生綉姫にため息を付いてゆっくり地面に下ろす。
「おい……こっち見ろ」
地面に下ろしてもなお顔を上げない生綉姫に声をかけるが生綉姫はずっと自分の足元を見ていて顔を上げようとはしない。
「…聞いてんのか?」
『………』
鬼壟はまた短くため息を付くと……