月の恋
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その声はどんなに小さくても私の耳に届く
「……咲羅」
「っは」
声と共に我が主の後ろに跪く
昼だというのに窓という窓すべてにカーテンがかけられていて部屋の中は薄暗い。
そんな中、部屋に居るのは我が名を呼ぶ主と私ともう1人……床で気を失っている若い女。
「………」
食事でもなさったのだろう…
すぐに片付けなくては…
我等、妖怪は他人の生気を吸い寿命を伸ばす生き物。
だが…生気を吸って寿命が得られるものとそうでないものがこの世にはある
寿命を得ることができる獲物は2つ…。
1つは人間。
人間の生気を吸えば90%の確率で寿命が伸び治癒能力をも高まると言われてる。
もう1つは妖怪。
妖怪の生気を吸えば50%の確率で寿命を伸ばすことができる。
しかし同じ妖怪であれば逆に寿命を取られ縮めてしまう確率もまた50%ある。
その確率を知ってか知らずか多くの妖怪達は人間達ばかりを狙っていた。
だか……人間には1つだけ欠点があった。
元々妖怪より弱い人間は生気を吸われることで体が衰弱し…死んでしまう。
妖怪達により人間の数が激減してしまったのが今から約1200年前の平安時代だった
人間は恐れ世界は絶望のふちに立たされた時………神がとうとう妖怪達の行為を許さなくなった。
だか神はこの世界に手を出すことは出来なかった
この世界を創った者ではあるが干渉することは神だからこそ禁じられていた。
最後まで悩み悩んだ神は人間界から妖怪を追放することを決めた。
そしてもう1つの世界を創ったのだ。
その世界が今我等がいるこの妖怪の世界。
「……咲羅…何を考えてる?」
この世界の歴史を聞かされた時のことを思い出してると、上から主の声が聞こえた。