月の恋
風の調べは、戦慄の夢…
「………で、お前は何をしている」
咲羅はついさっきまでブツブツ文句を言っていたはずの生綉姫が机に乗っている料理に手を伸ばすのを見て声をかける。
『ん?何って…お腹すいたから何か食べよっかな~って思って』
咲羅の声に振り返った生綉姫は自身のお腹をさすりお腹がすいたとアピールしながら言葉を続けた
『やけどさ…コレって食べれるん?』
生綉姫は少し顔を歪ませながら目の前の料理を指さす
「………当たり前だ」
『嘘やん!マジで言うてる!!』
「…………」
生綉姫が叫んだと同時に咲羅の眉間には皺ができる
だがそんな咲羅の睨みも気にすることなく生綉姫は有り得ないとばかりに声を出す。
『本間にこんなん食べれるん?!』
「……何度も言わせるな」
『いやいやいや…だってよあーた……』
生綉姫はそこでいったん言葉を切ると一つ深呼吸して……
『こんなデストロイヤーな食べもんうち見たことなーーーーふがっ!!』
「………食べろ」
生綉姫が口を開け文句を言いだした直後、咲羅は生綉姫がありえないと指をさしてた料理を手で掴み生綉姫の口の中に無理矢理入れ込んだ。
だが急に口に料理を入れられた生綉姫は…
『んーーーーーーーっ!!』
(ぎゃーーーーーー!!)
「………美味いだろ」
『んっんーんーーー!』
(美味しないわーー!)
「………ちゃんと噛め」
『んーーんー!!』
(噛めるかーー!)
「………何だその目は」
『んんんーんーーんー!!』
(喜んでる風にでも見えるか?!)
「………そんなに美味いか」
『んーーんーー!!』
(見えんのかい!!)
「………仕方ない」
『んっんんーんーん!』
(何が仕方ないねん!何が!)
「………あれも美味いから入れてやる」
『ん…んんんーーーーっ!!』
(や…やめてーーーーっ!!)
その後、しばらく生綉姫の声にならない闘いは続いた……。