月の恋


『ごほっごほっ……うえ~』

「………」


床で四つん這いになり咳き込んでる生綉姫を咲羅は不思議そうに見下ろす



『あーーありえへん…本間ないわ~』

やっと落ち着いた生綉姫は床に座り横に立っている咲羅を見上げる。


「………」

『………』



しばらく2人共、目線を外さず見つめ合う形となっていたが生綉姫が急に吹き出したことでその沈黙は破られた。


『ぷっ』

「………何?」

急に吹き出した生綉姫を怪訝そうに見ながら咲羅は首を傾げた。


そんな咲羅に生綉姫は…

『いやいや、ごめんごめん……何か相変わらずポーカーフェイスやな~って思って』

…と言いながらまた机に向かって手を伸ばす。


「……お前…食べるのか?」


咲羅はまた机に向かった生綉姫を見ながら少し目を見開いて尋ねる。


『え?あかんの?』

だが返ってきた返事にはご飯が並んでるのを見て待ったされてる子供のように拗ねた声が咲羅の耳に届いた。


「……まずかったんじゃないのか?」

『え?誰もそんなん言うてへんやん』

「……じゃ何故咳き込んでた?」

『……は?』

「…だから…何故『あんたが無理矢理口んなか入れるからや!!』」

なんやコイツ天然か!!

「………お前が美味いと言った」

絶対天然ちゃんやん!!

『言うてへんわーーー!いや美味しかったけども!…っ!………あ~~…もう良い分かった分かったから……だからそんな睨まんとって』


生綉姫はまた睨みだした咲羅に降参と顔の前に両手を上げる。


ほんまコイツ睨むん好きやな~
そのうち眉間の皺とれんくなるんちゃうかって逆に心配なるわ


生綉姫はまた壁に寄り掛かった咲羅をチラ見してから目の前のちょっと不思議な色の食べ物に手を伸ばした。


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