聖夜の夜に……
そろそろ……
行かないとだな。

ぼくはいつものように金色のラッパをつかみ、人間界へとゆっくり降りていった。

それと同じ頃に
空からは雪がチラチラと降り始めた。

ホワイトクリスマス。


ぼくは少しの間
冷たい空気の間をぬって、クリスマスのイルミネーションで彩られた
街の空を飛びまわった。

サンタの格好でケーキを売る人や
腕を組み歩くカップルや
楽しそうに大きな買い物袋を下げた家族。


ごく普通で当たり前と思えるクリスマスの姿。

けれど、こんなクリスマスを過ごせる事が
実はどんなに幸せな事なのかということを……

はたしてどれだけの人が分かっているのだろう。


生きている。

それこそが、幸せな事であり
奇跡なのだと

ぼくは思う。
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