聖夜の夜に……
「そろそろだな……」
ぼくは金色のラッパを手に持った。

感情を入れてはいけない……

感情を入れてはいけない……。

これがぼくの仕事だ。



ラッパをそっと口にあて
いつものように息を吸おう……

とした、その時……

驚いた事に
えりちゃんの閉じていた瞳がゆっくりとひらいた。

まだうつろな目をしているが、口では何かを言いたそうに
パクパクとしている。


そんな、まさか……

もう、えりちゃんの寿命の刻は過ぎている。

時間の過ぎた人間が意識を取り戻すなんて、
こんな事は初めてだった。
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