聖夜の夜に……
今の仕事をする前ぼくは、生まれてくる命へ運命を授ける仕事をしていた。

金色のハープを持ち、命の生まれる瞬間へと立ち会う。

そして、
1人1人それぞれの決められた曲を奏で運命を授けるのだ。


たくさんの生まれ出る瞬間に遭遇した。
その中で、心に残る出産がぼくにはあった。

呼吸が弱まりながらも難産に難産の末に産まれた、1人の女の子。

何十時間にも及ぶ出産から目を離せなかった。

産まれた女の子は普通より少し小さめの子で、
ぼくの目には心臓に欠陥がある事がすぐに分かった。

それと、長くは生きられないだろう事も……。
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