もう一度、名前を呼んで。【完結】
まず、理流は昂太のことしってるの?
あと、タツキってだれ?
それに、なんでこんなに教室が静かなの…?
理流が入ってきたときから誰も口を開いてない。
それは、理流が3年生だからという簡単な理由じゃないことくらい、あたしにだって分かった。
だとしたら、理流は何者?
ここにいるだけで、この不良集団が黙りこくってしまう。
たしかにこの教室内を見渡したときの理流の目は鋭く、身震いしそうなものだった。
聞きたいことはたくさんあったけど、理流はイスに座ったまま目を閉じてしまった。
これじゃあ何も聞けない。
あたしは瞳を閉じた理流をとてもキレイだ、と思った。