もう一度、名前を呼んで。【完結】
「藍那を、送ってきた。」
理流は口元をクッと上げて、そう言う。
それを聞いた昂太は目を飛び出るんじゃないかってくらい見開いてあたしを見た。
「な…何?」
いきなりそんな目で見られたあたしは、さすがに焦る。
「藍那…なんで理流さんのこと知ってるんや?」
あたしの隣で、理流がククッと笑う。
何なんだろう。
「昂太こそ、なんで理流のこと知ってるの?」
「ばっか!藍那ぁ!
ミチルさんと呼ばんかぁ!!」
昂太は心底慌てて、あたしの肩をぶんぶんと揺らした。
「昂太、止めとけ。俺が良いっつったんだ。」
気持ち悪い…
と思っていたあたしを見兼ねてか、理流がやんわりと昂太を止めてくれた。