もう一度、名前を呼んで。【完結】
教室
寝たくても寝れない藍那は、何も喋らずただボーッと窓の外を見ていた。
授業中もそれは変わらず、授業をしにきた篤志の言葉にも何も答えなかった。
昼休み。
「おー、龍毅やん!!」
昂太の元気な声で、藍那はハッと我に返った。
「よぉ、昂太。」
なんて言いながら教室に入って来た龍毅を、あたしは視界に捕らえる。
「龍毅…何しに来たの?」
「お前なぁ!俺が自分の教室にきちゃ悪ぃかよ!!!!」
………は?
自分の教室?
「龍毅って…あたしと同じクラスな訳?」
「しらねぇのかよ!」
あたしの言葉にギャハハ、と笑いながらあたしの隣の席にガタッと座った。
……イス、可哀相……………。
そう思ったことは龍毅には言わなかった。