もう一度、名前を呼んで。【完結】



龍毅は何も言わずに、ただイスに座ってた。


昂太とでも話しに来たのかな、とも思ったけど、そんなに口数も多くない。



どうしたんだろ?


そう思ったけど、あたしは夢と現実の間みたいなとこで意識がフラフラしてた。




「藍那、飯食わねぇの?」


「ん……」



龍毅がチラッとこっちを見て聞いてきた。


同時に昂太もこっちを見る。



「お腹…空かない……」



ボーッとしたままのあたしを、心配そうに昂太が見ているのに気付いた。



「昂太、心配しなくていいよ。
あたし元気だから。」



そう言って笑ってみせたけど、多分あたし、笑えてなかった。




< 165 / 334 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop