もう一度、名前を呼んで。【完結】
「藍那が倒れたって聞いて……」
綾嘉さんも、風斗さんの後ろから出てきた。
「睡眠不足と軽い脱水症状と少し栄養失調気味、だそうです。」
僚から聞いた藍那の症状を説明する。
二人の表情が辛そうなものに変わった。
「食事をとらないとは聞いていた…。
でも、そんなに……」
風斗さんは躊躇いがちにベッドに近付いた。
「俺が、守れなかったんです。」
風斗さんが俺のほうを見た。
「紫蛇だろ?啓司から聞いてたよ。」
知ってたのか、と思った。
「でもそれとこれとは関係ないんじゃないか?」
「…藍那が倒れたのは紫蛇の倉庫でです。」
「…場所がそうだっただけだ。」
「藍那は連れていかれたんです。
俺が…守れなかった。」
下を向きながら言葉を紡いだ。