もう一度、名前を呼んで。【完結】
「お?力が弱くなったな。
殴られたくねぇの?」
フフン、鼻で笑う。
舜がだんだんイライラしだしたのが分かった。
すると捕まれていないほうの手で、そいつの腹を殴りあげた。
「うっ……」
そいつは、少し後ろによろめく。
「あっ…」
俺は思わず声が出た。
俺の予想じゃ、あれは多分藍那だ…
「殴ったな?
こっちもやるぜ…」
笑うそいつ。
やっぱり藍那じゃないのか…?
どうしてあんなに強い?
ばしばしと拳が飛び交うなか、舜はだんだん息が上がっていったのに、そいつは乱れない。
しかも身のこなしも綺麗で舜の拳は当たらない。
そんなとき。
舜の手がそいつの髪を掴んだ。
「あっ…ダメっ……」
「「「藍那(ちゃん)!?」」」
どうやら今の声で俺以外の三人も同じことを思ったらしい。