もう一度、名前を呼んで。【完結】
そんな藍那を察してか、僚が話を変える。
「藍那ちゃんは何でそんな格好をしてるの?」
白いスーツに、ダークブラウンのカツラ。
いつもの化粧はしてなくて、眉毛が少し太め。
髪型と化粧をしてないせいでかなりの美男子だ。
「いやぁ〜あはは。」
と軽く笑って話し出す。
「龍毅がいなくなったらさ、お客さんが全然来なくなっちゃって。
売上勝負って言ってたじゃない?
あたしは人生初の文化祭だっていうのに裏に回ってさ。
なのにぜ〜んぜん稼がないからあたしもホストやってみようと思って。
でもいざやってみたら女がウザくなってきちゃって…
香水は臭いし化粧濃すぎて顔の原形分からないし。
…あたしもあんななのかな?
で、とにかく稼ぐだけ稼いで逃げちゃったってわけ。
で、逃げてたらこんななってるし…
てかそろそろ追っ手が来るかも…」
少しだけ顔色を青くした藍那が後ろを見る。
ズレていたカツラを被りなおし、スーツを整える。
「あたしの名前はランだから!
藍那って呼ぶんじゃねぇよ?」
ニヤッと笑った藍那…もといランは、ササッと龍毅の後ろに隠れた。