もう一度、名前を呼んで。【完結】



あたしは桜華がどうなったのかは知らないまま、働き続けた。

昂太やモモも働いてはいたけど、どこか上の空。


あたしも少し気になって、クラスの人に接客を代わってもらったりした。




「ランさん、休憩してきたらどうっスか?」



黒服役の男の子がそう言ってくれて、あたしは再びあのバイクが見えるところに行った。


バイクはまだそこに置いてあって、持ち主がなかなか来ないからか、なんとなく寂しい。



そのとき…




―ブォンブォン!



――キキーッ




改造されているんだろう。

凄まじい音を轟かせて、何台かのバイクが入ってきた。



そのバイクを見てみれば、ほとんどが黒を基調とした大きなもの。

…よく見たら後ろから車も来た。




そんなバイクと車に共通しているもの。




…桜の花びら。




置いてあるバイクと同じ、桜の花びらが散っていた。




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