もう一度、名前を呼んで。【完結】


そしてなおもその人は続ける。


「ま、桜華と比べるのは良くねぇとは思うけど。

…姫さんもいるんだからさ、しっかりすれば?」



あたしの体がビクッと揺れる。


藍色の人はいつの間にかあたしを真っすぐに見ていて。




…――バレてる。


かなり上手く変装出来てると思ってたのに。



ビックリして、あたしは目を見開いて話を聞いた。





「言いたいことはそんだけ。なんかあんなら今のうちに聞いてやるぜ?」




最後は、そう締める。


少し偉そうに話すその様子が、鼻につく。




「あんたの言う通りだよ。俺らがそいつの話しを聞かなかったのが悪ぃ。」



舜くんが言った。

あたしよりも年下のはずなのに、しっかりしてるんだな、と思う。



普通だったら、キレたりしない?




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