-Judge-
「息を、止めて下さい。」
刀夜の冷たい声に息を吸った時、喉がひゅっと音を鳴らした。
それと同時に、「ぎゃっ!」とどこからか奇声が聞こえてきて、自然と視線がその声の方向を探していた。
集団の中にひとりうずくまる男。
腕を押さえるようにして呻く彼を、周囲の人間は遠巻きに見ている。
「息を、止めて下さいとお願いしたはずです。」
無機質な声音に、背筋に冷たいものが流れるのを感じた。
「次は、切り落とします。」
何を、というのは言わなくても分かった。
男の押さえる腕から流れる真っ赤な血。手の甲の真ん中に綺麗に刺さっているものはバタフライナイフ。
きっとこの中に息を止めなかった人間は複数いるだろう。それなのに運が悪いだけで、この男がみせしめに狙われた。
躊躇なくそんな事をやってのける刀夜に本気で恐怖を感じた。