-Judge-
嘔吐を繰り返し、床をのたうちまわった。苦しみの余り喉を引っかき、身体が燃えるように熱いのを我慢しようとすれば、くぐもった声がでる。
胴体と足が分裂しているように思うほど、感覚が麻痺している。
いっそのこと殺してくれ。そんな叫びがあちこちから聞こえた。
私も何度も生死をさ迷った。
けれど殺してくれとは思わなかった。
だって、両親が死んだのは私を守ったから。
だから私はこの命を両親の為だけに捧げるととうに決めている。
私は身体を地面に擦り付けながらも、刀夜の元へと向かい、懇願した。
「銃を、貸してもらえませんか。」
自分でも冷めた声だと思った。こんな状況に関わらず冷静でいれる自分は、周りから人形のようだと言われても致し方ないと思う。
刀夜は懐から拳銃を取り出した。
それを手渡す彼の前で、私は自分の右足のふくらはぎを撃ち抜いた。
ぱんっと乾いた音がして、血が飛び散る。
「正気を取り戻しましたか。」
そう言って、銃を受け取る刀夜に私は一度頷いた。
その血を眺めながら思う。
私は、生きている。