-Judge-

辺りからビービーと機械的な音が聞こえてくる。

薄暗い部屋で何人もの人間がパソコンの画面を食い入るように見つめる図はとても異様だった。


セキュリティロックが施されたパソコンを、半日かけて解除する。
しかしそれを少しでも間違えれば、今聞こえているように機械が悲鳴をあげる。


何桁もの数字が画面の下から上へと流れていくそれは、ひとつ瞬きをするだけで何がなんだか分からなくなってしまう。
莫大な集中力を使い、尚且つ肉体的にも辛いもので、特にタイピングをしている指の筋肉は当たり前のようにつる。


小さなミスのせいで鳴りつづける音の中、ひとり周りの画面よりも何倍ものスピードで流れる数字を見つめる人間がいた。

キーボードを叩くその小さな手の動きはまるで音楽を奏でるかのように軽く、弾んでいた。


レイは、ABCというランクがあるなか、Aレベルの訓練をしていた。


Aレベルまで行くと実際の現場へと駆り出される。




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