-Judge-
「俺はナンバーじゃないよ。」
そう言って自嘲的に笑うゼンにどこか違和感を覚えた。
「それって…」
「何をしてるんですか。」
突然割って入ってきた声に、私もゼンも驚いて視線をそちらに向ける。
「刀夜さん。」
姿勢が良すぎて、返って不気味に見えるその立ち居振る舞いは相も変わらず。
小さく息を吐きながら、その名を口にしていた。
「訓練の合間を塗って密会ですか。」
ゼンと私を交互に見遣り、そんな事を口にする刀夜さんに苛立ってしまう。
「密会の何がいけないのですか。」
「レイ。」
咎めるような口調のゼンにまで何故だか苛立つ。
「レイ、貴女はボスのお気に入りなんですよ。もう少し立場をわきまえて下さい。」
刀夜さんのその理不尽な言葉に小さく舌を打った。
「おや、反抗期ですか?」
「…」
「全く世話の焼ける。ゼンもどうやら訓練に余裕があるようですね。ボスに報告しておきます。」
では。そう告げて去っていく彼の背中をひたすら睨みつけた。