-Judge-
「意外だった。」
刀夜さんがいなくなってから再び訪れた静寂の中、ゼンは前を向いたまま口を開いた。
その横顔を見上げながら、「何が?」と問い掛ける。
「レイも舌打ちするんだね。」
「…まあね。」
「なんかジェラシー。」
先程、刀夜さんに舌打ちをして反抗期かと言われた時の事を言っているのだというのは直ぐに分かった。確かに、いつもは感情を表に出したりしない。だがしかし、駄目なのだ。あの人を前にすると、どうしても心の中をどす黒い何かに呑まれてしまっているかのように、苛立ち、不快になる。
意外だと言われたのは理解した。けれど、ジェラシーとはどういう意味なのか。
唇を尖らせてふて腐れている彼に首を傾げる。
「俺だって、レイを感情的にさせたい。」
優しい色をした瞳をこっちに向けて微笑むゼンに、そっか。と呟く。
ほんとに、うん。
意味不明だ。