-Judge-
黒い喪服に身を包んだ人達が私を見ながらひそひそと話しているその声があまりにも耳障りで、その場を後にした。
真っ白な雪が空から静かに降り注ぎ、広がるのは美しい雪景色。
それは四日前のあの夜とはまるで別世界のよう。
大切な人を失った。
それがこんなにも呆気ないものであっていいものか。
涙は流れなかった。
どんなに心が悲鳴を上げようとも、泣くことはなかった。
それはお母さんにずっと言われ続けていたことで、失った今でもその言い付けを守っている。
『泣く子は強くなれない』
それは転んだ私に言い聞かせる言葉だったけれど、それからは泣かないように頑張った。
だってお母さんもお父さんも私の前では一度だけしか泣いたことがなかったから。
二人が死んだ日。
それが二人が見せた最初で最後の涙だった。