-Judge-
けれど、ようやく此処まできた。ガードが固かった黒ずくめ達の、その顔を見せないようにと覆った覆面をもう少しで剥がせる。
後一歩。
この手で犯人をじわりじわりと追い込むその瞬間を想像しただけで、全身に鳥肌が立つ。そして、両親を殺した真相を突き止めてやるんだ。
絶対に逃がすものか。
満月を見上げて息をゆっくりと吐いた。
「早く、楽になりたい。」
思わず口を突いて出た言葉は、本心だった。
復讐を果たして、そして楽になりたい。この組織を抜けて、幸せとまでは言わない。贅沢だから、そんなの望まない。だから、どうか。
「普通に笑いたい。」
人形とかそんなものじゃなくて、普通の人間として暮らせるようになりたい。
ただそれだけを求めていた。