-Judge-
「なんで…」
「分からない。でも、とても悲しい。」
両親が死んでから一度も涙を流さなかったのに。
つきつきと痛む胸に、ぎゅっと服を握った。
ずっとずっと泣かなかったのに。
「泣くなよ、レイ。」
「…死なないでよ。お願い。」
「はは。」
お前がそんな可愛い事言うなんて。
そうやって困ったように笑う彼の瞳からも涙が零れていた。
「やだよ、寂しいよ。」
「レイ…」
「寂しいよ、ゼン。」
人形になんてなってなかった。
感情だって、ちゃんと此処にあった。
強くなったつもりでも、それはきっと全部無意味だった。
お父さんとお母さんを殺したのはあの男なんだ。
ゼンも、こんな復讐劇に巻き込まれずに済んだのに。
「ごめんね、ゼン。」
その夜、大切な親友は息を引き取った。