-Judge-
記憶の行方
ノックもせずに社長室に足を踏み入れた事なんて、今までになかった。
「ミツはどこ?」
少しも面白くもないのに笑っている男の頭に銃口を押し付ける。
「レイ。」
咎めるような声。しかし、全く焦る様子のない刀夜の姿を横目に、「どこ。」と強い口調で尋ねる。
「復讐は果たしたのか。」
「何故両親を殺した。」
「どうだった、感想は。」
「お前が依頼したんだろう。」
「復讐は気持ち良かったか。」
「ゼンが死んだ。」
そこで、ようやくボスは口を閉じた。しかし、直ぐに笑みを見せる。
「そうか。とても残念だな。」
「ふざけるな。こうなる事は全て計算済みだったんだろう。じゃないとあそこにゼンを送り出す意味がない。」
「そうだよ、レイ。ゼンはお前に近付いたからな。消さないといけなかった。お前の両親と同じように。」
「…何を」
「愛しているんだよ、お前を。」
伸びられた手に、反応出来なかった。