-Judge-
「君が天宮君かい?」
理事長室に辿り着いてソファに座ると、待ち焦がれていたかのように直ぐに口を開いた理事長。
たった今着いたばかりなんだから、そう急かすな。せっかちな奴だ。
内心そう悪態をつきながらも、はい。と頷いた。
「ようこそ、桜ヶ丘学園へ。」
差し出された右手を軽く握ると、理事長は嬉しそうに笑った。
「さて、君にしてもらいたい仕事の事なんだけど。」
お茶のひとつも出せないのか。
なんて気の利かない学園なんだろう。建物はこんなにも立派なのに。
そう思っていた矢先に、目の前にかちゃりと置かれたのはお洒落なマグカップ。
中に入っているのは、湯気の出た珈琲。
それを置いてくれたのは、温厚そうな白髪の老人だった。
ありがとうございます。と頭を下げれば、女の子みたいね。と言われた。
そんなの当たり前だ。
わたしは女なんだから。