-Judge-
「簡潔に言えば、君にはこの学園を守って欲しい。」
何も答えずに珈琲を少しばかり口に含むと、ほっと一息。吐き出された息と共に出た言葉。
「なんと…」
「はい?」
「美味しい。」
そう。とてつもなく美味である珈琲に、感極まってもう一口。先程の気が利かないという言葉は撤回だ。
「君は面白いね。」
「そうですか。」
「どんな子が来るかドキドキしていたけど、いやあ、しかもこんな美男子だなんて。」
「はあ。」
「まあ…ただね、襲われないようにね。」
「ああ、はい。重々承知してます。」
「なら良かった。」
にこりと笑う理事長が何を言っているのかというと、此処は男子校で、今時なかなかない門限つきの全寮制。
つまり、生々しい話しになってしまうが、思春期真っ盛りの彼らがどうやって欲を吐き出すのかといえば、ね。
「男に襲われるなんて真っ平ごめんです。」
つまり、そういうこと。