-Judge-
そう思った矢先だった。
後ろで聞こえる扉が開く音に、振り向く。
そこに立っていた人物は私を見て動きを止めた。
勿論こちらも動かない。
えっと、だって、どういうこと?
「なに。」
いや、こっちの台詞だし。
「今日から転入してきたんだけど。」
「あ、そう。右の部屋ね。」
「え、うん。わかった。」
私が返事をしたのを確認する前に、彼はリビングの扉を閉めて違う部屋へと消えて行った。
もしかしなくても相部屋なのか?
別にそれは良いとして、面倒くさいけど。
この部屋の殺風景さに驚く。
まるで人の気配などなかったのに。
「なんか、感じ悪いな。」
先程の男を思い出して呟く。
自己紹介くらいしたらどうだ。
まあ、でもそういう性格なんだろうな。
そう割り切ることにした。
お互いに干渉しないのが一番だ。