-Judge-

「俺のことは隼人って呼んでね!ね、ご飯食べた?一緒に行かない?」

隼人は、私の手を引いて勢い良く立ち上がった。


「ちっさ。」

立ち上がってみて、その小ささが余計に分かる。隼人は女の私より小さい。ちなみに私の身長は170センチジャスト。

頬を膨らませてふて腐れる隼人に、「ごめん、気にしてた?」と謝ると、「いいよ、一緒にご飯食べてくれるならね!」と、言われた。


こんなに可愛い生き物とご飯とは、嫌な訳がない。
って、まるで男の心境じゃないか。や、良いのか。男に成り切れてる感じは悪くないはずだ。


「西園寺、寝てんの?」


隼人が再び机に突っ伏して寝ようとしている、相部屋の男の肩を叩く。

以外と素直にむくりと起き上がったそいつに、「飯行こうぜ。」と声を掛ける隼人。

「いらねー。」

西園寺と呼ばれた男は眠そうにそう言って欠伸をひとつ。


「おっけ。」


軽い口調で答える隼人は、せっかくの誘いを断られたのにも関わらず気を悪くした様子もない。


「じゃ、行こう。玲。」

「ああ。」


教室を出る時、ちらりと西園寺の方を見ると、再び眠りの世界に旅立っていた。
うん。なかなか変な奴だと思う。
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