-Judge-

「やめろよ。頼むよ…」

男に縋り付く隼人に、なんだか胸が温かくなった。
自分の為にこんなにも必死になってくれるなんて。正直会ったばかりの人間の為に、ここまで親身にはなれないだろう。
どれだけ優しいんだ。

そんな隼人の肩を思いっきり押した男。そのせいでよろけた隼人を見て、わたしの中の何かがキレた。


掴まれたままの両腕はそのままに、地面を思いっきり蹴って飛び上がり、その足で二人に強烈な一撃を食らわす。

くぐもった声を出して唸る男達に休む暇も与えない。自由になった両腕で顔面パンチ。


強烈な一撃だ。
実に、清々しい。


「な…」

隼人を押した男は、唖然として口をパクパクとしている。その様はまるで酸素を求める魚のようだった。

その横で間抜けな顔をしている隼人は、文句なしに可愛い。



「かっけー…」


仕舞いには目をキラキラと輝かせて、私の周りをぴょんぴょんと跳ねる隼人は「アクション映画みたいだった!」と、笑う。


ほんとに、可愛過ぎる。




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