-Judge-
美しい装飾が施された大きな扉の向こうには広い部屋があった。
「お帰りなさい、ボス。」
声のした方向には部屋に見合う程に大きなデスク。その前に立つスーツを身に纏った男はこちらに向けて頭を下げていた。
「ああ。」
隣りに立つ男がそう返事をした事から、彼がボスと呼ばれる程に偉い立場の人間だという事が分かる。
ボスの脱いだコートを受け取った男は私を見て、目を丸くした。
「レイだ。こいつに見合うスーツをオーダーしろ。訓練は明後日からやらせる。」
男が口を開く前に、ボスが私の事について話す。
「分かりました。」
「天宮の子だ。美しい娘だろう。」
ドスンと椅子に腰掛けたボスに、男は、はい。と答えただけでそのまま部屋を出ていってしまった。
「さてと…レイ。」
足を組み、デスクの上に置いてある小さな箱へと手を伸ばすボスは、そこから一本の葉巻を取り出した。それをくわえながら視線を私へと向ける。