-Judge-
ばれる可からず
「おはよ、玲!」
爽やかに笑う少年に、「おはよ。」と返すと、彼は頬を赤らめた。
「ほんとに玲って綺麗だよな。」
「ありがとう。」
やんわりとそう礼を言えば、隼人はにっこりと笑った。
「あ、西園寺もおはよう!」
「おう。」
ちらりとこっちを見た西園寺だったが、すぐに前を見つめた。
その短い挨拶が彼には似合う。
「なあ、玲と西園寺って同じ部屋じゃないの?」
「ん?ああ、そうだよ。」
「何で朝一緒に来ないの?」
「さあ。西園寺いつもいないし。」
その返事に不服だったのか、今度は西園寺に標的が変わった。
「なあ、西園寺。玲と仲良くしようぜ。転入してきたばっかで緊張してるんだから。」
「あ?」
「西園寺は冷血男ってみんなに言われてるんだぜ。やじゃないのかよ。なあ!」
「…」
「なあ!なあ!なあ!」
しつこく問い詰める隼人は正直面倒臭い。
可愛くなかったら私だったら一発ぶん殴っている。
「緊張とか、そんなたまじゃねぇだろ。」
「え?」
「転校してきて二日目でソファーで爆睡だぜ。有り得ねぇ。」
馬鹿にしたように鼻で笑う西園寺に、私はちょっとだけむっとした。