-Judge-
「Judge。」
そう言って煙りを吐き出すボスは、考えるように目を細め、そしてゆっくりと口を開く。
それは何かに慎重になっているからなのだとなんとなく分かった。
「我々の組織は、表では普通に働いているが、裏では万屋だ。」
「万屋?」
「ああ。つまりは何でも屋だ。世界各地から依頼を受ける程に我々の仕事は大それている。お前は今日からJudgeの一員だ。復讐したければ、その手で果たせ。」
その言葉に私は小さく息を呑んだ。
自分はとても大きな世界に飛び込んでしまったのではないか。
しかし目を閉じれば浮かんでくるのは、死ぬ間際の両親の涙だった。
「よろしくお願いします。」
その凛とした高く幼さが残る声は、部屋によく響いた。