-Judge-
憎悪か、或は
「私の名は刀夜(とうや)。此処が貴方の部屋で、これが貴方のスーツと雇い金です。他に必要な物があればこれで買って下さい。」
案内されたのは簡易ベッドと机がぽつんと置かれたとても殺風景な部屋だった。
ベッドに投げ出されたのは、真っ黒でストライプ模様が入ったスーツ。
刀夜と名乗ったのは、先程、ボスの部屋にいた男だった。
刀夜の無機質な声音に、では。と言って部屋を差って行く彼を引き止める事は出来なかった。
刀夜がいなくなって簡易ベッドの横にあるロッカーを開けてみると、中には黒いタンクトップとスパッツの様な物が入っていた。
それを身体に当ててみて、サイズがぴったりな事に驚く。
まるで元から私が此処に来るのが分かっていたかのように、そう思うと少しだけ鳥肌が立った。
ベッドに座り、此処に来るまでの出来事を思い出していると、なんだかどっと疲れが湧いてきた。
疲労困憊とはこのことをいうのだと、この時生まれてはじめて身を持って知った。
怠い、眠い。
しかし、寝れそうにない。
これからの事を思うと、眠れるわけがなかった。