ラブトラップ
「ファミレスでぎゃあぎゃあ騒ぐなよ、みっともない」

低く、冷たい声は今まで幾度も幾度も浴びせられたのとなんら変わらないトーンのものだったのに。
何故か、胸の奥の柔らかいところを鷲掴みにされたような気持ちになってしまう。


今まで私、どうやって美虎と会話してたっけ――。


頭の中をフル回転させて、口を開く。

「そ、そんなに煩く騒いでないわよっ」

「そう思ってるのはお前だけだよ。
 じゃあな」

美虎は、会計に向かうところだったらしく、いつもと変わらぬ態度で私の傍をすり抜けていった。
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