ラブトラップ
どうすればいいんだろう――。

「リン。
 おはよう。
 次の練習は来週の日曜日、午後二時から。都合どう?」

朝、昇降口で声を掛けてくれたのは、ドラムの健二。
同時にうちのリーダーでもある。

「了解。
 ね、どうしていっつもその時間に練習するの?」

今までどうも思わなかったけれど、うちのバンドの練習はいつだって午後二時から四時までだ。それ以外の時間だったことはほとんどない。

あ、それはね、と健二は明るく笑って私の耳に囁いた。

「美虎の実家、喫茶店じゃん?
 その時間が休憩時間なの」

――ってことは、それ以外の時間は手伝っているってことなのかしら?

そういえば、練習が終わると、皆の片付けも待たず、すぐに美虎はスタジオを後にすることが多かった。
ボーカルだから片付けなんて必要ないせいだと思っていたんだけど。
そうじゃなかったのね。
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