ラブトラップ
「幸いにも、っていうか。
 無意識のうちに、第一の罠はもう、リン自ら仕掛けているわけじゃない?
 だから、第二、第三と重ねていけば、獰猛な虎だって捕まえることができるんじゃないかな」

南は、わくわくした目で私を見る。

「そ、そういうもんなの?」

恋のノウハウその一は情報収集で、その二は恋の罠を仕掛ける――?

「そういう回りくどいのって、どうだろ」

大きなクレープを瞬く間に平らげた斉藤くんが、首を傾げる。

「別に、トラップを仕掛けるほうは回りくどくても、仕掛けられたほうは回りくどいなんて感じないわよ。
 ――それとも、私、回りくどかった?」

南が、可愛らしく小首を傾げて斉藤くんを見つめる。

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