ラブトラップ
「え?
 俺にも何か、罠、仕掛けてくれちゃってたわけ?」

焦る斉藤くんに、さぁね、と。南は爽やかな笑顔で挑んでみせる。


はぁ――。
私に、南みたいなことが出来るかしら。

まだ、何も初めて無いのに打ちのめされちゃってるような、私に。

「でもさぁ。
 あの早川さんだってフラレタんだよ?
 私に勝ち目があると思う?」

これが本音。

「それより、ずーっと友達で居たほうが楽しそうじゃない?」

告白が失敗したら、折角入れてもらったバンドから締め出されちゃうかもしれないし。
正直、今の私は恋の行方より、そちらの方が怖かったりもする。

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