ラブトラップ
「この前のアンコール曲。
 キーボードも入る余地、あるよね?」

「もちろん」

「良かった。
 あれから一応耳コピはやってみたのよ。でも、細かいところが全然ダメで。
 誰か、スコア(楽譜)持ってないかしら?」

本当は、もっと早く同じことを美虎に聞いてみたかったのだけれど。

どうしても、呼び止めて聞いてみることが出来なかったのだ。
今までだったら、簡単に出来たのに。

「あったと思う。
 ちょっと、探してこようか?」

「ううん。
 陽介、練習してたのに悪いじゃない。
 後でもいいよ」

陽介はちらりと腕時計に目を落とす。
約束の時間まで後15分はある。
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