ラブトラップ
「熱心なのはいいことじゃない。
別段、不機嫌そうに絡まれる覚えないんだけど」
多分、前の私だったらそういう風に返したであろう言葉を口にする。
「不機嫌なんかじゃねーよ、別に」
ぷいと視線を逸らしたまま、低い声で美虎が呟いた。
それは、最初に私の自己紹介にケチをつけたのと、同じ口調。
私はさらに何か言いたかったけれど、心臓の高鳴りが頭の回転を鈍らせて、どうしようもない。
そうこうしているうちに、メンバーが揃って、私たちは前回のライブの反省と、次回のライブに備えた練習を始めることになったのだ。
練習に没頭していると、二時間なんてあっという間。
時計に目を落とした美虎は、誰よりも早くスタジオを抜け出して駆けていく。
それは、今までと変わらない光景なのに。
そして、今まで一度も美虎のその姿を見て、何かを考えたことさえなかったのに。
今は、どうしても、その、後姿を追いかけたくて仕方が無い自分に気付いて苦笑する。
別段、不機嫌そうに絡まれる覚えないんだけど」
多分、前の私だったらそういう風に返したであろう言葉を口にする。
「不機嫌なんかじゃねーよ、別に」
ぷいと視線を逸らしたまま、低い声で美虎が呟いた。
それは、最初に私の自己紹介にケチをつけたのと、同じ口調。
私はさらに何か言いたかったけれど、心臓の高鳴りが頭の回転を鈍らせて、どうしようもない。
そうこうしているうちに、メンバーが揃って、私たちは前回のライブの反省と、次回のライブに備えた練習を始めることになったのだ。
練習に没頭していると、二時間なんてあっという間。
時計に目を落とした美虎は、誰よりも早くスタジオを抜け出して駆けていく。
それは、今までと変わらない光景なのに。
そして、今まで一度も美虎のその姿を見て、何かを考えたことさえなかったのに。
今は、どうしても、その、後姿を追いかけたくて仕方が無い自分に気付いて苦笑する。