ラブトラップ
「ね……。
 美虎の家、近い?」

「歩いたら後5分くらいじゃないかな。
 あ、俺は別におせっかいってわけじゃないし、一緒に喫茶店に入ってスコア渡すだけにしてもいいけどね、別に。
 美虎にだけ彼女が出来るのも、なんかしゃくじゃん?」

健二は楽しそうに笑う。
私はそれどころじゃない。


だいたい、私が告白するとしても、即美虎の彼女になれるってわけじゃないだろうし。
むしろ、玉砕する確率の方が高いわけで――。

「えー。
 無理だよ、無理。
 何の罠も仕掛けてないのに、美虎が私の彼氏になるとかマジ、ありえないって」

てんぱっている私。
健二の笑顔は変わらない。

「そうかな?
 あれほど、表面取り繕う男が本音で喋ってる女子なんてキリン以外に見たこと無いけど」
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