ラブトラップ
やれやれ、と、美虎は肩を竦めるとふいに私の耳元に唇を寄せた。
息がかかるほど、近くに。

「大丈夫。
 何があっても俺がフォローしてやるか心配すること無いよ」


それは、今まで耳にしたどんな声より甘いトーンで。
私は思わず瞳を見開いて、美虎を見上げた。


心臓が高鳴っているのは、本番前の緊張のせいなのか――それとも。
美虎の言葉にときめいたのか、その判別は自分にもつかなかった。
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